食品を製造する場合には原材料の受入から最終製品までの全ての工程で、微生物による汚染や異物の混入などの危険が存在します。危険の防止につながる重要な工程を連続的に監視・記録すれば、製品の安全を効果的に確保できます。以前は出荷前に抜き打ち検査を行うことで問題のある製品を探すのが一般的でしたが、連続的な監視・記録を行う方法ならばより高い精度で問題のある製品を発見できます。重要工程の連続的な監視・記録を行う製品の管理方法はHACCPと呼ばれており、日本では2020年6月に義務化されました。

この方法では加熱・冷却を行う場合の温度管理や時間の管理を継続的に行うことになります。以前から食品の安全を確保するため温度管理が行われていましたが、HACCPの義務化によって重要性がさらに高まっています。HACCPを導入して適切な温度管理や時間の管理を行うことで、安全で衛生的な食品を製造できるようになります。問題のある製品を高い精度で発見できるので、出荷を未然に防ぎクレームなどの低減に役立ちます。

品質のばらつきが少なければ取引先からの評価が上がり、より効果的な営業が可能になるというメリットもあります。HACCPを導入するためには従業員がチームを組んで話し合い、具体的な管理プランを決定します。従業員が直接的に管理プランの決定に関わるのでモチベーションを向上させるだけでなく、現場の状況を把握しやすくなります。工程ごとの管理ポイントが明らかになるので、従業員の経験に頼らず安定的に安全な製品を作ることができます。